平成25年度税制改正大綱のポイント-相続税・贈与税-

平成25年度税制改正大綱のポイント-相続税・贈与税-(2013.03)

  平成25年度税制改正大綱が129日に閣議決定されました。相続税・贈与税の抜本改革が盛り込まれた内容となっています。

1.相続税の基礎控除引下げ・税率構造の見直し

 相続税の基礎控除が引き下げられ、税率構造については6億円超に55%を新設し、6段階から8段階とされます。また、未成年者控除、障害者控除の控除額が引き上げられます。

 

現行

改正後

基礎控除

5,000万円+1,000万円×法定相続人数

3,000万円+600万円×法定相続人数

税率構造

10%から50%の6段階

10%から55%の8段階

2.小規模宅地の特例の見直し

 

改正前

改正後

特定居住用宅地等の特例の適用対象面積

240uまでの部分の評価額が8割減

330uまでの部分の評価額が8割減

特定居住用と特定事業用の併用

限定併用(最大で400u)

完全併用(最大で730u)

構造上区分(行き来不可能)された二世帯住宅

適用×

適用○

その他、老人ホームの終身利用権を取得している場合に、改正前は適用不可能でしたが、改正後は@介護が必要なため入所したもので、A貸付用となっていない場合には特例の適用が認められます。

3.贈与税の税率構造の見直し

 贈与税の最高税率が55%に引き上げられ、税率構造も6段階から8段階になります。一方で、20歳以上の子や孫が受贈者となる直系尊属からの贈与については、一般の贈与よりも低い税率が適用されます。

例)

基礎控除後の課税価格

一般の贈与

直系尊属からの贈与

1,000万円の場合

税率:40(控除額125万円)

税率:30(控除額90万円)

4.相続時精算課税制度の適用要件の見直し

 贈与者の年齢要件や受贈者の範囲が緩和されます。

 

改正前

改正後

贈与者

65歳以上の者

60歳以上の者

受贈者

贈与者の推定相続人である直系卑属で

20歳以上の者

贈与者の推定相続人である直系卑属及び孫で

いずれも20歳以上の者

5.教育資金の一括贈与に係る贈与税の非課税措置

 子や孫に対する教育資金の一括贈与を非課税とする特例が創設されます。

(1)概要

受贈者

30歳未満の直系卑属(子や孫)

贈与財産

学校等に支払う入学金等の教育資金で文部科学大臣が定める一定のもの

贈与の方法

教育資金充てるための金銭等を金融機関に信託等をする

限度額

受贈者1人につき1,500万円(学校等以外に支払われる場合は500万円)

(2)申告等 

 受贈者は教育資金の非課税申告書を金融機関経由で受贈者の納税地の所轄税務署長に提出し、払い戻しをした場合、教育資金の支払に充当したことを証する書類を金融機関に提出しなければなりません。また、非課税拠出額から教育資金支出額を控除した残額は30歳に達した日に贈与があったものとして贈与税が課税されます。