会計事務所 税理士事務所 長崎県 佐世保市

土地取得促進税制(2009.07)


1.平成21年度税制改正

平成21年度税制改正において、不動産取得の促進・活性化を目的とした税制が2本創設され、注目を集めています。@長期所有土地等の1,000万円控除、A先行取得土地等の特例

2.長期所有土地等の1,000万円特別控除

 以前、証券市場の振興を目的として、平成13年11月30日から平成14年12月31日までに取得した上場株式等を平成17年から平成19年中に譲渡した場合に元本1,000万円までを非課税とする特例がありましたが、今回創設された税制はその土地版といえます。すなわち、平成21年〜22年中に土地等を取得し、5年超所有した後に譲渡した場合に、最大1,000万円まで特別控除(非課税とほぼ同義)できるという制度です。以前の上場株式の場合は個人限定の特例でしたが、今回の土地版は個人・法人問わず利用できます。

3.先行取得土地等の特例

 平成21年〜22年中に土地等を取得し、取得日を含む事業年度終了日後10年以内に所有する他の土地等を譲渡したときは、譲渡利益の80%(平成22年取得は60%)相当について圧縮記帳を認める制度が創設されました。取得日の属する事業年度の確定申告期限までにあらかじめ「先行取得土地等の届出書」を提出することなどが要件ですが、個人でも法人でも適用できます。

<設例>

先行取得のイメージがわきにくいと思いますので、設例を示します。

A土地を平成21年中に取得し、取得後10年内にもともと所有していたB土地を売却するケースです。特例摘要を受けない場合は、B土地の売却益4,000万円(6,000万円−2,000万円)について課税されます。新たに取得するA土地を先行取得資産とすることにより、B土地の売却益は下図のように800万円に圧縮されます。圧縮された金額はA土地の取得価額が減額されることになります。


<ポイント@>・・これから取得する土地等を売る場合もOK

 すでに土地等を所有している方や法人だけでなく、これから土地等を取得するケースでも利用できます。例えば下図のように、平成21年〜22年中に土地等を2物件取得し、いずれか値上がりの大きい方の物件を売却し、もう一方の土地等を先行取得資産とすることも認められます(週刊税務通信3069号)。

土地需要の喚起を目的にしているためですが、うまくはまれば大きなメリットが得られます。



<ポイントA>・・金額制限無し

先行取得土地等の特例は、金額の制限がありません。したがって、特例の適用は、1億円でも100億円でも認められます。