1.倒産って
倒産が急増しています。
昨夏のサブプライムショック以降、低迷する世界経済、それに連動する日本経済ですが、ここにきて上場マンション販売会社等がバタバタ倒産しています。これから年末にかけての状況が心配されるところです。
倒産の明確な定義はありませんが、インターネット事典のウィキペディアによれば「経済主体が経済的に破綻して弁済期にある債務を弁済できなくなり、経済活動をそのまま続けることが不可能になった状態、または不可能になること、例えば、破産、会社更生、民事再生、破産、特別精算などのいわゆる法的倒産手続を総称する概念」とされています。
会社が倒産した場合、経済的に破綻した状態なので、債権者は回収がままならず普通は100%の債権回収を望めません。株主はというと、債権者よりも地位が劣後するため、まずは回収できないでしょう。
倒産には、悪いところを切ってやり直す再生型、墓場行きの清算型の2つのコースがあります。今日における再生型の筆頭は「民事再生手続」でしょう。一方の清算型の代表格は何といっても「破産手続」でしょう。また、最近は、倒産という烙印を押されるのを避けるために、主に再生型手続において「私的整理手続」も選択されています。
2.倒産と税務手続き
会社が倒産すると、株主、債権者、当該会社、それぞれが大きな影響を受けます。
今回は、会社が破産した場合の、それぞれの関係者の税務がどうなるかを概説してみました。
(1)株主
法人株主と個人株主とでは、取扱いが異なります。
@ 法人株主
法人税法においては、破産手続によって会社が消滅すれば、株式は紙切れになるのでその損失は損金として認められますが、消滅前の時点でも、減損処理が認められる場合があります。
A 個人株主
所得税法においては、株式の売買損益は原則として譲渡所得に区分され、倒産による損失は認められていません。但し、市場で売却することが、売却損として他の売却益と譲渡所得内で通算できます。
(2)債権者
事業者と非事業者とでは、取扱いが異なります。
@ 法人事業者
法人税法においては、破産手続の進行に沿って、最初の申立て時点に50%、その後回収不能額が確定した時点でその金額を貸倒損失処理できます。
A 個人事業者
所得税法においては、個人事業者の場合は、上記に準じた処理が認められます。
但し、事業の遂行上生じたものに限定されます。
B その他の個人債権者
事業外で発生した債権、例えば、友人の経営する会社に個人的に融資をしていたような場合は、たとえ破産によって債権が回収不能になっても、その損失は税務上認められません。
(3)当該会社
破産手続が開始すると、会社は今までの事業を行うことができずに、財産の換価(お金に換えること)を中心とした清算事務を行い、最終的に集まったお金を債権者に分配して会社としての幕を閉じます。
税制も、それまでの儲けに対する課税という方式(所得課税方式)から残余財産課税という方式に変わります。残余財産課税方式では、資本金などの純資産を超える財産がなければ法人税はかからないので、破産手続の場合には法人税がかからないのが通常です。
但し、滞納税金があったりした場合、破産手続によっても免責されないので、優先的に滞納税金の支払をすることになります。
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