1.新しいリース取引会計基準に対応する税制
「リース取引に関する会計基準」と「リース取引に関する会計基準の適用指針」の発表に伴い税制面の改正も行われています。改正前は一定の所有権移転外ファイナンス・リース取引については、税務上も賃貸借処理が認められていましたが、改正後は税務上リース取引となるものについては、そのリース資産の賃貸人から賃借人への引渡しの時にリース資産の売買があったものとされました(法法64の2@)。この場合のリース取引とは、土地の賃貸借等一定のものを除き次の要件を満たしたものをいいます(法法64の2B)。
@ その賃貸借に係る契約が、賃貸借期間の中途において解除することができないものであること又はこれに準ずるものであること
A 賃貸借に係る賃借人がその賃貸借に係る資産からもたらされる経済的な利益を実質的に享受することができ、かつ、その資産の使用に伴って生ずる費用を実質的に負担すべきこととされているもの
オペレーティング・リースは、上記リース取引には該当しないため、改正前と同じく税務上も賃貸借処理が認められます。
改正後リース取引会計基準が平成20年4月1日以後に開始する事業年度から適用されるのに対し、税務上の上記改正は、平成20年4月1日以後に締結される契約に係るリース取引から適用されます。
2.会計処理と税務処理の比較
@ 減価償却方法
所有権移転リース取引に係るリース資産の減価償却費は、会計上、税務上ともに自己所有の固定資産に適用する減価償却方法と同一の方法により算定します。所有権移転外リース取引に係るリース資産の減価償却費は、会計上は原則として、リース期間を耐用年数とし、残存価額をゼロとして算定しますが、償却方法は定額法、級数法、生産高比例法等の中から企業が選定します。一方税務上は、リース期間定額法により計算されるため、会計上定額法以外の償却方法を採用した場合には、税務上の償却費と乖離するため、税務調整が必要になります。
A 重要性の乏しいリース等
所有権移転外リース取引のうち、重要性の乏しいリースでリース契約1件当たりのリース料総額が300万以下のリース取引やリース期間が1年以内の短期のリース取引等については、会計上賃貸借処理が認められていますが、税務上はすべて売買があったものとされ、リース資産につきリース期間定額法により減価償却する必要があります。しかし、リース資産につき、賃借人が賃借料として損金経理をした金額は、償却費として損金経理した金額に含まれるとされているため(法令132の2B)、実質的には、支払リース料と減価償却費が同額となり、税務調整は不要となります。この場合、法人税申告書別表十六への記載も不要となります。 |