会計事務所 税理士事務所 長崎県 佐世保市

人材投資促進税制(2005.08)

 長引く不況の中リストラ等を迫られ、人材投資を縮小せざるを得なかった近年ではあるが、最近では人材育成に積極的な企業に税制上特典が与えられる、いわゆる人材投資促進税制に注目が集まっているようです。

(1)   制度の概要

 この制度は青色申告書を提出する法人及び個人にその適用があり、業種や規模を問わず全ての企業が対象となります。

 この制度は、当期の教育訓練費が一定の増加をした場合にその増加額のうち、最大で25%を適用年分の法人税や所得税から控除できるというもので、簡単に算式で表すと(当期の教育訓練費−前2事業年度の教育訓練費の平均)×25%(一定の上限有り)となります。

 法人の場合は平成17年4月1日より開始する事業年度から、個人事業者は平成18年分から適用することができます。(3年間の時限立法)

(2)   教育訓練費の範囲

 人材投資促進税制の適用にあたっては、正社員や契約社員、パート・アルバイトなど、自社の使用人や個人事業者のその事業に係る使用人に対する職務に必要な技術や能力の習得や向上のために行った教育訓練費用がその対象となります。

 一方で自社の役員や個人事業主とその特殊関係にある者、使用人兼務役員や入社予定者に対する教育訓練費用は残念ながらこの制度の対象とはなりません。

(3)   中小企業者等の特例

 この制度の注目すべき点は、その趣旨もさることながら青色申告書を提出する中小企業者等には、増加額の一定割合が税額控除できる()に代えて、かかった教育訓練費の総額に対して下記の一定割合を法人税または所得税から控除できるという特例との選択が可能であるという点です。一定の上限はあるものの、中小企業者等にとってはかなり有利な制度となっています。

@適用年度の教育訓練費増加割合が40%以上の場合…20%

A適用年度の教育訓練費増加割合が40%未満の場合…教育訓練増加割合×0.

 経済活動のグローバル化や、技術やノウハウの高度化・短サイクル化、熟練技術者の高齢化という状況に対応するためにも、個人が自ら行う学習もさることながら、本税制を上手く活用することで、企業が必要とする人材を企業自身が育成するということが可能になるかもしれませんね。